総領事の見聞録 第11回

58年振りにシアトルでタカラジェンヌが公演!

去る12月3日、シアトルを訪問した宝塚歌劇団OGの4名のタカラジェンヌが公演を行いました。宝塚歌劇団といえば、華やかな衣装で演じるレビューのイメージが強いですね。次々と斬新な演目を取り入れてダイナミックに変化し続ける宝塚歌劇団は,初演が1914年なのでもうすでに「伝統的芸能」と言えるかもしれません。

日本の伝統的舞台芸術の代表格と言える歌舞伎は,女役も含めて男性だけで演じる劇ですが、宝塚は反対に男性役も含めて出演する俳優はすべて女性です。実は,宝塚歌劇団は世界で唯一、役者が全員女性の劇団なのです。この宝塚では男役が花形で、男役を「男らしく」見せて引き立てるために、娘役は「普通の女性よりも一層女性らしく」振舞うことが必要になるのだとか。ですから,どの役を見ていても興味が尽きません。

調べてみると、かつて1959年に宝塚歌劇団がシアトル公演をしたことがあるそうで、3000人以上の観客を集めたようです。今回はOG4名が収容人数450名ほどのシアトルセンター内のコーニッシュ劇場で上演しましたが、会場は満員。チケットを買えない人もかなりいたそうです。4名のタカラジェンヌ(毬穂えりなさん,綺華れいさん,珠まゆらさん,紫峰七海さん)は、「ベルサイユのばら」などの宝塚ヒット作品の名場面、日本舞踊やタンゴなどをつなげたメドレーを披露しました。客席脇の階段で観客とハイタッチしながら歌うなど、劇場全体を使って圧倒的な存在感で,観客と一体になって盛り上がる様子に,さすがは宝塚と感じました。
 

公演の冒頭で説明に現れた若い米国人女性は、日本留学中に宝塚を見てファンになった自らの体験を話しました。米国に帰国した後も、お金を貯めては宝塚の公演を見るための渡航をもう8回も繰り返しているそうです。結婚した際には、ご主人に対して「実は、私はもう宝塚と結婚しているの。だからあなたはサイドショウなの。ごめんね。」と言ったというエピソードを紹介して,観客の爆笑を誘いました。

世界経済フォーラムの「2016年グローバル・ジェンダー・ギャップ報告書」によれば各国における男女格差を図るジェンダー・ギャップ指数で日本は144国中111位です。日本の女性は教育や健康の面では世界のトップクラスを占めていますが、経済面と政治面での参画において未だ大きく遅れているのが現状です。女性の進出がまだまだ遅れている日本ですが,そのイメージを覆すかのように、女性だけからなる宝塚歌劇団の世界に冠たる歴史と存在感!宝塚歌劇団がもっともっと海外で公演して欲しいと思うのは,私だけではないでしょう。女性の社会進出の進む欧米でも,宝塚の芸術の完成度,それに女性のみの劇団という話題性などで,公演すれば話題をさらうことは間違いないと思います。

ちなみに、公演の後,17時間の時差にも負けず迫力満点のパフォーマンスをしてくれた4名のタカラジェンヌや関係者の方をお招きして、総領事公邸で夕食会を行いました。公邸料理人の益子竜一シェフには日本時間の12月4日に長男が誕生し、彼は父親になりました。タカラジェンヌたちは、食事が終わって益子シェフが挨拶に現れた時、ニコッと顔を見合わせて,ハッピーバースデーソングを四重唱で歌ってくれるという,ファンには垂涎もののサプライズをしてくれました。「清く,正しく,美しく」生きるタカラジェンヌの温かい人柄が、このようなエピソードにも表れています。やはり,宝塚は特別でした!