総領事の見聞録 第14回

シアトルの桜

神戸テラス公園 (Photo Credit: Fumiyo Tanaka)

春が来ました。花が咲いてからも気温が低いままだったおかげで,シアトルの桜は2週間以上も満開でした。寒い冬が終わり,陽光を受けて輝く鮮やかな白い花の下で,お弁当を食べてお酒を飲む日本の花見。最高ですね。

桜の花見は日本人の長い伝統です。西暦800年代初めには,すでに貴族が花見を楽しんだという記録があるそうです。

花見という素敵な日本の文化を外国にも知って頂きたいということで,当時の東京市長だった尾崎行雄氏が1912年に3000本の桜をワシントンDCに寄贈して,ポトマック河畔に植えられました。ここシアトルでは,1960年,当時皇太子だった天皇・皇后両陛下がワシントンパーク植物園内にある日本庭園で桜を植樹されました。1976年には,若かったときにシアトルで過ごした経験を持つ当時の首相三木武夫氏が,日米友好のために1000本の桜をシアトルに寄贈して植樹されました。昔から桜を大切にしてきた日系米国人のおかげもあって、シアトル市民にも愛される樹木となり、今では市内のあちこちで美しい桜を見かけます。
 
ワシントン大学での桜 (Photo Credit: Albert Ramos)

その1976年以来,佐々木タヅエさんとご主人のユタカさんが中心になって運営されてきた「シアトル桜祭り」が4月20-22日にシアトル・センターで開催され,推定3万1千人の人が訪れました。今年で43回目になります。この祭りでは,生け花,茶道,書道,武道など日本の伝統文化が紹介され、日本から中南米出張の帰りにシアトルに寄った岡本三成・外務政務官も訪問しました。
 
シアトル桜祭りで鎧についての講演

シアトルでは「桜」の名の付く大きなイベントがもう一つあります。日本の現代ポップカルチャーの祭典『Sakura-Con』です。今年が第21回目の今や「伝統」行事です。3日で延べ2万4千人を超えた参加者は,日本のゲームや漫画,アニメのキャラクターの見事なコスプレ衣装に身を包み,コンベンション・センターを練り歩きました。参加者は遠く全米各地や日本からも集まるようです。私は開会式に招かれたので,考えた末,時代劇でお馴染みの悪代官の格好で登場しました。ちょうど同じ時期,ワシントン州日本文化市民センターからの表彰を受けるために来訪した藤崎一郎元駐米大使も,コスプレで場内を闊歩しました。サングラスをかけた姿は,笑ゥせぇるすまんか,ブルースブラザーズか,はてまたゴッドファーザーか,正確に言い当てられる人は教えていただけませんか。
 
(左から)Christopher Louck (Sakura-Con会長), Mira Utz, 山田総領事、藤崎元駐米大使 Sakura-Con会場風景

雨ばかり続く長い陰鬱な冬を過ごしたシアトルっ子が,桜の季節を祝ってお祭りをする気持ちはよく理解できます。私もシアトル近辺の桜の名所をいくつか見に行きました。観光名所の一つでもあるワシントン大学構内の桜の他,ディスカバリーパークに行く途中にあるマグノリアの西34番街(34th Avenue West)の桜並木もお勧めです。この並木の下でお酒を飲みたいなと思いましたが,シアトルでは公共の場での飲酒は禁止。桜を愛でる心は同じでも,両国で許されることには差があります。桜の下でお酒が飲みたければ,アメリカの人も日本にどうぞお越しください。最高ですよ。
 
富士山の桜