総領事の見聞録第17回

兵庫県とワシントン州との深い関係

井戸知事とシアトル・シーフェアのトーチライト・パレードにて
 
7月26日から29日にかけて、兵庫県の井戸敏三知事が姉妹都市関係55周年の機会にワシントン州を訪問し、27日にはオリンピアで記念行事が行われました。兵庫県とワシントン州は深い関係があります。県・州レベルで姉妹関係にあるほか、シアトルと神戸、州内第二の都市スポケンと西宮など、ワシントン州のなんと13もの市が兵庫県の市と姉妹関係にあります。昨年は神戸市とシアトル市が姉妹都市関係設立60周年を祝いました。(井戸知事シアトル訪問の詳細は北米報知などで紹介されていますので、どうぞご参照ください。)
 
姉妹都市記念行事におけるインズリー知事と井戸知事
 
兵庫県とワシントン州には多くの共通点があります。いずれも重要な港湾を擁する物流の拠点で、ライフサイエンスや医療の分野では国の最先端の研究が行われており、港湾から離れた地域では農林業が発達しています。今回結ばれた両県の協力覚書は、両者の関係をさらに進めてくれることでしょう。
 
インズリー知事主催の歓迎昼食会
 
ワシントン州知事主催の井戸知事歓迎昼食会が州知事公邸で開催され、私も同席させていただきました。両知事は既に何度も会談したことがあります。イギリス風に誂えられた居心地の良いダイニングルームで未来の発展のビジョンや交通渋滞、災害対策、環境保護など現実に直面する問題について、熱心に話し合っていました。
 
代表団全体の歓迎式典では、両知事の相手に対する温かな思いやりが感じられました。ところが、何だったかわかりませんが、両知事がお互いに譲り合って引かない場面があり、二人はジャンケンを始めました。負けたインズリー知事が天を仰いでいた姿が印象的です。式典の総合司会を務めたカリン・ザウグさんは日英両国語に堪能ですが、読んでくださいと渡された難しい日本語に時々引っ掛かると、「この仕事、大変なんですよ!」と関西風の軽妙なギャグで皆を笑わせていました。
 
ジャンケンをするインズリー知事と井戸知事

インズリー知事公邸で行われたレセプションでは、灘の酒「福寿」で鏡割りが行われました。「福寿」はノーベル賞の授賞式でもサーブされたことがある銘酒です。私も福寿の蔵元の「酒心館」を見学させていただいたことがありますが、酒造りの基礎知識を学べるほか、テイスティングを兼ねた食事もでき、お土産物の種類も大変豊かな所です。


鏡割り 
 
その2週間後には、兵庫県丹波市から谷口進一市長や町の中学生など10数名の代表団が当地を訪れ、オーバン市、ケント市、丹波市の3市の間の姉妹関係の50周年記念行事が行われました。丹波市は昔から黒豆や栗の生産で有名な山深い市。この3つの市は長年にわたり、高校生の一年間の交換留学や、若者のホームステイなどの交流プログラムを続けてきました。
 
9日に行われた合同の歓迎夕食会にそろって姿を現したラルフ・ケント市長、バッカス・オーバン市長はいずれも女性です。ケント市のラルフ市長は、高校時代に一年間、丹波市で過ごしたことがあるそうです。谷口市長のお話では、日本にある814の市のうち、女性の市長は全体の5%ほどだそうです。そういえば、シアトルを訪れる各種の日本の代表団の圧倒的多数は男性で、女性がトップを占める代表団にはまだお目にかかっていません。ワシントン州には女性のリーダーが社会の各層にいます。ワシントン州に来る代表団にとっては、多くの女性リーダーたちとの出会いも新鮮な体験でしょう。


カレン・フレイザー氏(前ワシントン州議会上院議員)の姉妹都市関係への貢献に感謝の意を表し、井戸知事から肖像画を贈呈
 
若者から知事や市長に至るまで、姉妹都市交流は自分の住む社会を見直す刺激を与えてくれます。若者の交流に力を入れる自治体は、将来への投資に力を入れているのですね。また、交流を楽しむことで生まれる相互理解と友情は、両国の政治関係に左右されない強固な安定的関係を作り出します。ワシントン州との間で緊密な姉妹関係を持つ兵庫県は、日米関係の重要な一端を担っていることに改めて気づかされた夏となりました。