山田総領事(2017.6~2020.7)の見聞禄
平成29年7月24日

国際ロータリークラブのアトランタ世界大会
6月10日から12日まで、アトランタで開催された国際ロータリークラブの世界大会に出席しました。日本を含む世界200か国・地域のロータリークラブの代表が一堂に集まり、その数は何と約4万人。開会式や全体セッションのほか、様々なテーマに分かれての会合が沢山開かれ、また各国のロータリー活動を紹介する数百のブースが巨大なホールに設置されている様子は圧巻でした。私は、キャシー・ギブソン会長のおかげで、シアトルから参加している大勢のロータリアンの会合に加えて頂き、楽しい時間を過ごすことができました。シアトルのロータリークラブは1909年に設立され、全米、つまり全世界で4番目に古い歴史を持ち、会員数としては世界最大と言われ,最も活発に活動しているロータリークラブの一つです。彼女のイニシアチブで、この一年、トランスジェンダーの人を招待して社会的差別を議論するなど、このロータリークラブでは社会の様々な問題を取り上げています。
ロータリークラブ・インターナショナルは1979年から、世界のポリオ撲滅運動のイニシアチブをとっており、既に世界122か国で25億人の子供にワクチン接種を行ってきました。アトランタ世界大会には、ポリオ撲滅運動の最大の資金貢献者であり、ロータリーの活動と協力してきたビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団のビル・ゲイツ共同議長が出席して、世界のポリオ撲滅運動の現状や課題について熱弁をふるいました。ポリオといえば、フランクリン・ルーズヴェルト大統領も大人になってから感染して、身体がマヒしてしまったことが知られています。日本政府もポリオ撲滅を重要課題と考え、今までに5億ドル以上の資金を国際協力のために支出しています。今回、アトランタでは、ポリオ撲滅運動のドナーのセッションにおいて、安倍晋三総理大臣からのビデオ・メッセージが流れました。世界でポリオがまだ残っている国は、ナイジェリア、パキスタン、アフガニスタンの3か国で、目標達成まであと一歩の状況です。しかし、10年前もこの3か国だけが残る状況は同じでした。日本では「百里の道は九十九里をもって半ばとせよ。」という諺があります。国際協力で残りの坂道もどうにか登り切って、ポリオが天然痘に次いで人類が撲滅に成功した2番目の感染症となり,ポリオの被害を過去の話にしたいですね。
