山田総領事(2017.6~2020.7)の見聞禄

2017/10/6

アマゾンとコストコに行きました。

日本やアメリカのような消費社会では、21世紀に入って、多くの人の買い物のしかたは次の3つの形のいずれかを取るようになったと思います。一つは、オンラインで注文と支払いを済ませ、指定先の住所まで届けてもらうやり方。2つ目は、大型スーパーで週末に一週間分の買い物をするやり方。3つ目は、デパートか町の商店かを問わず、店員と対話しつつ商品を選んで買う形です。一つ目のモデルの代表格がシアトルに本社を置くアマゾンです。シアトル郊外から発生したコストコは2つめのモデルの大手として台頭しています。8月に、この2つの企業の本社を訪問しました。
 

アマゾン

アマゾンと言えば、昔は本をオンラインで売る会社として知られていました。シアトル近郊のベルビュー市にあったジェフ・ベゾス創業社長の家のガレージを使ってアマゾンが1990年代半ばに開業した時の写真を見せていただきました。その後、販売する商品はどんどん拡大し、今では家の中に必要なものは皆Amazonで買って届けてもらえる時代となりました。最近、アマゾンは米国の無農薬有機栽培(オーガニック)食品の大手であるホール・フーズを買収し、生鮮食品を通信販売する体制を整えました。新鮮野菜を家庭から注文して届けてもらう日もそう遠いことではなさそうです。
 

アマゾンキャンパス  © Amazon.com, Inc.
 
アマゾンは、クラウド・コンピューティングの分野でも世界の最先端を走っています。モニク・ペッシュ副社長の話では、アマゾンはグーグルやマイクロソフトと同様に、自らの膨大なデータ処理機能をスタートアップ企業に低価格で提供しています。それによって、これらの企業は独力で整備すれば数億円はかかると言われるデータ処理機能を利用することができるので、ハイテク中小企業の起業に必要な重要なインフラの一部になっています。

また、アマゾンを始めとするインターネットの巨人企業は、いずれも音声に反応する機能の開発にしのぎを削っています。私も、アレクサを見せていただきました。アマゾンの人が「アレクサ、今の東京の天気は?」と言うと、「曇りで気温は70度(摂氏21度)」と人間の声で答えが返ってきました。つい最近、アマゾンのジェフ・ベゾス社長とマイクロソフトのサティア・ナデラ社長はそれぞれの音声反応機器であるアレクサとコルタナを相互に運用可能にする合意が成立したと発表しました。ベゾス社長は有人火星飛行も本気で実現しようと別会社を設立して取り組んでいます。


コストコ

コストコ社は,商品を大きな分量で廉価に販売する大型スーパーマーケットです。郊外に大きな店舗を展開しており、車の保有が広まった社会でのまとめ買いに適しています。様々な商品について他社ブランドと並んで高品質の独自商品をカークランドというブランド名の下に提供しています。ジェームズ・マーフィー副社長の話では、品質を極めて重視しているため、海外市場での進出先は基本的に高所得国だということです。日本での店舗数は、ごく最近開店した浜松店を含めて26店舗。これは米国以外では英国の28店舗に次ぐ多さだということですが、今後も進出計画があるので、おそらく英国よりも多い店舗数となるだろうとのことでした。
 

コストコ

コストコの商品の高品質を可能としている要因の一つは、品ぞろえの上での工夫です。日本の大手スーパーでは15万点くらいの商品が並ぶこともあるということですが、コストコは3500点に限っているとのこと。これによって、商品流通の回転が速くなり、新鮮・高品質な商品を廉価に提供できるのだとか。マーフィー副社長の話では、今日のスーパーマーケットは、1917年に世界最初のスーパーマーケットがオープンした時と一見したところではあまり違いがないが、その背後では最適な流通を実現するための様々な技術的、経営的な改良が常に加えられ、競争に勝つため不断の努力がされているということでした。また,会社が高いパフォーマンスをするためには,従業員が熟練し、働き甲斐を感じて仕事をすることが不可欠です。このため、コストコは同業者の中で従業員の勤務条件が常にもっともよい企業となるよう留意しているということでした。

では、今まで我々が慣れ親しんできた第3のカテゴリーの買い物の将来はどうなるのでしょうか。マーフィー副社長によれば、デパートや町の商店街のお店は役割を果たし続けるということです。しかし、これらのお店も生き残るためには、買い物という行為によって客が満足する独自の体験ができるよう、不断の努力が必要であるということでした。シアトルという町は、この第3のカテゴリーの買い物においても、独特な体験を楽しめる街です。一度ぜひお越しください。