山田総領事(2017.6~2020.7)の見聞禄

2019/4/12

2つの高校生クイズ大会

3月に入ってから、モンタナ州とワシントン州で行われた高校生のクイズ大会に出席しました。
 

『ワールドクエスト』の高校生チーム(モンタナ州ミズーラ市)
 
一つ目は、モンタナ州ミズーラ市にあるモンタナ大学で開催された、『ワールドクエスト』というクイズ大会です。ワールドクエストは、高校生の国際問題への関心を刺激することを目的に、全米規模で行われているクイズ大会です。毎年、あらかじめ設定されたテーマの質問が出されます。今年のテーマは、“カタール(このクイズ大会のスポンサー)、北朝鮮情勢、世界の移民難民問題、地球温暖化、NATOと日米関係”でした。日本が大きく取り上げられるとあって、シアトル総領事館は今大会の共同開催者となりました。

クイズの問題はかなりの難問ぞろいで、よほど国際問題に通じていないと正解が解りません。4人からなる各チームは30秒以内に質問の答えを電子的に登録していきます。難しい問題ばかりなので、チーム内で鳩首協議するかと思いきや、モンタナの高校生たちは、メンバーの間で熱心に相談する姿がほとんど見られません。誰がボタンを押しているのかわかりませんが、淡々とボタンを押して答えを登録していく様子が印象的でした。

クイズ大会に参加したのは、モンタナ州各地から集まった約60チーム、約300名の高校生です。モンタナ州は日本を少し上回る全米第4の面積を持つ大きな州です。開催日の3月5日は寒さが厳しく、ミズーラではマイナス20度、ボーズマンでは何とマイナス42度まで気温が下がりました。そんな寒さの中、モンタナ州の東の端の町から、同州の西に位置する開催地のミズーラまで、なんと前日約800キロも車を運転して参加したチームもありました。

優勝したのは、450キロ離れたイエローストーン国立公園の北の玄関口にあるガーディナー高校チームです。このチームは、4月にワシントンDCで行われる全米決勝大会に参加する資格を得ました。全くの偶然だったのですが、大会の朝、私がホテルで朝食を取っていたら、このチームの学生の一人が前日のイベントでスピーチした私をたまたま見つけて近づいてきて、記念のためマグカップにサインをしてくれと頼まれました。このクイズ大会の後で、優勝チームのメンバーから私に送られてきたカードの寄せ書きの中に、「マグカップにサインをしていただいて、ありがとう」というメッセージが書いてあり,不思議な気持ちがしたものです。おめでとう、ガーディナー高校チーム!
 

熊本県の生徒とのスカイプセッション(モンタナ州ミズーラ市)

このクイズ大会に合わせて、日本政府が後援する「歩こうアメリカ、語ろう日本」の一団がミズーラを訪れて、高校生たちに現代日本の紹介イベントを行ってくれました。ミッションの構成員は4人。銀行員の中條優子さん、狂言師「10代目三宅藤九郎」の三宅祥子さん,日本女子大学の学生である酒井彩さん、総合研究大学院大学の博士課程に在籍している八田良樹さんです。4人は、それぞれ、日本の会社、狂言、給食制度、天文学について、モンタナの高校生たちに興味深いプレゼンをしてくれました。中条さんが紹介された話によれば、200年以上続いている世界の企業約3000社のうち半数以上が日本にあり、尚且つ現在まで続く世界最古の会社は寺社建設会社の「金剛組」で、創立は578年なのだそうです。このような、彼らの生き生きとしたプレゼンに、モンタナの高校生たちも大喜びでした。また、在モンタナ日本名誉領事のイアン・マークワンドさんの斡旋で、モンタナと熊本県の高校生をスカイプでつないだところ、学生生活や将来の抱負などについて海を越えて興味深いやり取りが行われました。
 

米国北西部ジャパン・ボウルの参加者たち(ワシントン州バンクーバー市)

3月16日には、ポートランドの対岸にあるワシントン州バンクーバー市で、ジャパン・ボウルというクイズ大会に参加しました。こちらは、日米協会が27年前から組織している全米規模のクイズ大会で、日本語を学んでいる高校生たちが対象です。信越化学工業株式会社などの地元の有力な日系企業が強力な後援者となって行われています。米国北西部地区予選は、今までオレゴン州で行われてきており、今回初めてワシントン州からも3校から8チームが参加したと説明を受けました。
 

米国北西部ジャパン・ボウルの高校生チーム(ワシントン州バンクーバー市)

ジャパン・ボウルは二人または三人一組のチームで争われます。レベル3と4に別れ、計8校の高校から参加した15チームの間で予選が行われ、各レベルで上位を占めた3チームがステージの上で決勝を戦いました。ジャパン・ボウルは、日本や日本語の知識について電子的に回答するだけでなく、会話力や理解力を含む総合的な日本語力を競う形になっていることが特色です。一人一人に課題となる用語、たとえば、「ピンからキリまで」ということばが与えられ、それを使って文章を作ることを求めるという問題もありました。できた文章の意味が通るかどうかを審査員が判断し、○か×の札を掲げることで、得点が決まるのです。「一期一会」という課題に直面した学生はしばらく呻吟していましたが、時間ギリギリになって「トランプ大統領と会うことになって、一期一会なので・・」と答えて、会場は大爆笑。文章の最後の方は聞き取れませんでしたが、私もほかの審査員と同様、笑ってマルの札を掲げました。
 

米国北西部ジャパン・ボウルの審査員(ワシントン州バンクーバー市)

クイズ大会は若者の熱気が溢れかえる楽しいイベントです。シアトルを中心とするワシントン州は、日本との結びつきが伝統的に強く、米国の中でも日本語を学ぶ学生が多い州です。学生たちがシアトルからポートランドまで行くのは大変です。非常に興味深いイベントなので、将来は「ワシントン州代表」を選出するジャパン・ボウルが開かれて、全米の決勝大会に高校生を送るようになってほしいと思います。