稲垣総領事 2023年新年のご挨拶
令和5年1月1日
新年あけましておめでとうございます。
2022年は少しずつ、しかし着実にバック・トゥ・ノーマル/ニュー・ノーマルが進んだ年でした。
昨年6月には、2016年に締結した「日本国政府とアメリカ合衆国ワシントン州との間の経済及び貿易関係に関する協力覚書」の期間を更に4年延長するための更新署名を冨田駐米大使とインズリー州知事との間で実施しました。今回の更新により、日・ワシントン州の更なる協力の進展が期待されます。
また、昨年はシアトル市と神戸市の姉妹都市交流65周年、モンタナ州と熊本県の姉妹州交流40周年を記念して、それぞれの首長等をヘッドとする訪問団が双方の都市を訪問し、経済や文化など様々な面で交流を深めました。
8月には、イチロー選手がマリナーズの球団殿堂入りを果たされました。昨年は日米野球交流150年を記念する年で、日・米双方で数々の偉業を達成し、その後の多くの日本人選手がメジャーリーグで活躍する礎を作り、日米野球交流を促進されたイチロー選手の球団殿堂入りは、一人の日本人として大変誇らしいものでした。これを記念するシリーズの最終戦で、私は始球式を務めるという栄誉にあずかり、皆さまの声援のおかげで無事に投げきることができました。すっかりマリナーズファンとなり、その後も球場に足を運び、日々のスポーツニュースもチェックするようになりました。
さらに、昨年は戦時中に日本人・日系アメリカ人強制収容の大統領令9066号の発布から80年に当たる年で、戦後、収容所から戻った日系人が互いの安否を確かめあう告知板としても当地の日本コミュニティに多くのニュースを伝えてきた北米報知も120周年を迎えました。私がシアトルに着任して以来、様々な場面で米国北西部の日系アメリカ人の豊かな歴史に触れ、大きな感銘を受けてきました。そして今日ある日米の友好関係の基礎を築いた人々の献身と犠牲への感謝の気持ちを深めて参りました。今後も、これを語り継いでいく重要性を深く胸に刻みました。
一方、世界情勢に目を向けると、昨年2月のロシアによるウクライナ侵攻は、戦後77年、人類が築き上げてきた武力行使の禁止、法の支配、人権の尊重といった国際秩序の根幹を揺るがす暴挙で決して許されないものです。日本を取り巻く安全保障環境が急速に厳しさと不確実性をます中で、日米同盟はこれまで以上に重要となっており、そんな日米関係を支える要素として、安全保障、経済関係と並んで重要なのは、日米間の人的交流です。
パンデミックを乗り越え、経済や文化などの様々な面で活動の本格化が期待される2023年は、ワシントン州と兵庫県が姉妹州交流60周年、ワシントン州日米協会も設立100周年を迎え、それぞれ周年行事が検討されているほか、8月にはAPEC関連閣僚級会合がシアトルで開催されます。
このような場を活かしつつ、引き続きワシントン州、モンタナ州及びアイダホ州北部で日本の魅力の発信に努めるとともに、両地域のビジネス、文化、観光等での関係・交流がさらに深まるお手伝いをして参ります。
私がシアトルに着任以来、世界の平和と皆さまの健康を祈念して毎日折り続けてきた折り鶴は、850羽を超えました。本年も皆さまのご健康とご多幸をお祈りいたします。
令和5年1月1日
在シアトル日本国総領事 稲垣久生