安全の手引き(2025年3月)
令和7年3月11日
目次
はじめに
I 当地治安情勢
II 防犯の基本的心構え
III 一般的防犯の手引き
V 災害への備え
I 当地治安情勢
II 防犯の基本的心構え
III 一般的防犯の手引き
- 住居での防犯
- 車の利用に関する防犯
- バス利用時の防犯
- 路上での防犯
- ホテルでの防犯
- 置引き対策
- 特殊詐欺対策
- カードスキミング対策
- 誘拐対策
- その他
- 交通事情
- 交通事故対策
V 災害への備え
- 災害が起きる前に
- 災害への備えとその計画
- 緊急災害キットの準備
- 災害が発生したら
- 在留届の提出
- 飲酒に関する留意事項
- 公共の場での喫煙
- マリファナ(大麻)の使用
- 児童虐待
- 警察・消防・救急車(911)
- 警察(シアトル及びベルビュー地域・非緊急通報)
- 医療機関(通訳の手配が可能な主な病院)
- 日本総領事館等
はじめに
近年、海外で生活する日本人が増加し、海外で事件や事故に巻き込まれる事案が増加しています。ひとたび海外で事件や事故に遭遇すると、現地においてはもちろん、日本のご家族をはじめ多くの関係者に大変な心配をかけ、事後措置に多大な労力と費用を要することになります。 海外で事件や事故に巻き込まれないためには、当地の法令や実情を十分理解し、日頃から安全対策に留意することが大切です。この「安全の手引き」は、日本人の皆様が当館管轄区域に 安全に滞在するための基礎的な情報をとりまとめたものです。安全対策の参考としていただければ幸いです。
当館の管轄州は、米国北西部州以下3州です。
・ワシントン州
・モンタナ州
・アイダホ州(北部地区のみ)
I 当地治安情勢
(1)ワシントン州は、全米の中では比較的治安が良いと言われてきましたが、2022年、殺人事件発生件数が、過去最高を記録し、また、2023年、窃盗等の財産犯の発生件数は、全米ワーストを記録する等、犯罪発生件数総数自体も全米平均に近づいており、治安が決して良いとは言えない状況です。下の表は、ワシントン州と東京都の犯罪発生率を比較したものです。ワシントン州と東京都を比較すると殺人事件は約4.0倍、強盗事件は約27.7倍、侵入窃盗(空き巣など)は約17.8倍、自動車盗は実に約285倍も発生しています。
主な罪種 | WA 州(2023年) (件) |
東京都(2023年) (件) |
||
殺人 | 376 | 94 | 4.0倍 | |
強盗 | 6,511 | 235 | 27.7倍 | |
強姦(強制性交) | 2,486 | 395 | 6.3倍 | |
傷害 | 18,942 | 2,630 | 7.2倍 | |
侵入窃盗 | 38,384 | 2,147 | 17.8倍 | |
自動車盗 | 54,187 | 190 | 285.2倍 | |
車上狙い | 51,181 | 1,724 | 29.7倍 |
また、銃器を使用した凶悪事件の多さも顕著で、2023年、ワシントン州では、3,861件(1日平均10.5件)の銃器使用事案が発生し、174名の方が亡くなられております。
(2)犯罪情報の入手
犯罪被害に遭わないため、どこで、どのような事件が発生しているか最新の治安情報を把握することは、非常に有効です。下記は、シアトル市内の犯罪マップで、最新の情報を入手できますのでご活用ください。
https://www.seattle.gov/police/information-and-data/data/online-crime-maps
II 防犯の基本的心構え
自分と家族の安全は「自分達で守る」という意識を持つことが大切です。そのためには「安全のための3原則」を心がけてください。(1)目立たない、(2)行動を予知されない、(3)用心を怠らない
具体的には、地元の人が身につけないような派手または高価な装飾品を身につけて歩かない、日常の行動をパターン化させない(犯罪者に行動を予測させない)、外国生活に慣れても自宅や車の施錠などを怠らないこと、などです。
これら基本的な心構えを持ちつつ、以下を参考に十分な防犯意識を持って下さい。
III 一般的防犯の手引き
1.住居での防犯
(1)住居の選定住居選びにあたっては、地元に長く居住し事情に詳しい人の意見を聞くことが大切です。居住する地域が安全であることが大切であり、一般的に次のような場所や家は避けた方が賢明と言えるでしょう。
- 道路にゴミが散乱しており、建物や塀に落書きが多い所
- 多くの家が鉄格子などで厳重に囲われている所
- 庭の手入れが極端に悪く、荒れ放題の家が多い所
- 玄関が道路から見通せない家
- 玄関周辺に樹木が生い茂っている家
- 街灯等照明設備が不十分な所
- 周囲にホームレスが住んでいる所
(2)生活上の注意事項
生活する上で特に気を付けなくてはならないこととして、次のことが挙げられます。
- 家のドア、窓にはしっかりした鍵をつけ、常に施錠することを習慣にしましょう。たとえ短時間の外出でも、鍵をかけることが大切です。
- 玄関が道路から常に見通せるよう、植木等の手入れをしましょう。
- 前庭や玄関には十分な照明設備をつけましょう。
- 家の合鍵を、玄関マットの下や植木鉢の下などに隠すのはやめましょう。信頼のおける方に預かってもらう方が賢明です。
- 夜間外出するときは、室内の明かりを点けておくなど、誰かが家にいるような印象を与える工夫をしましょう。また、旅行などで長期間留守にする場合は、タイマーなどを使い、夜間一定時間明かりが点くよう工夫することも大切です。
- 外出から帰宅した際、家に何者かの侵入形跡が認められたら、不用意に中に入ることなく、まず、警察に通報しましょう。
- 来訪者を迎える際、その訪問が予定されている場合でも、必ずのぞき窓等で本人であることを確認してから、ドアを開けましょう。
- 来訪者が見知らぬ人であったら、ドアを閉めたままの状態で用件を済ませるようにしましょう。
- 来訪者には、必ず返事をして留守と思われないように し、できれば家の中にたくさんの人がいるように装いましょう。留守だと思われると、窃盗等の犯行を誘発してしまう場合があります。
- 電気・ガス・水道・電話などの修理・取り付け工事などの場合も、ドアを開ける前に窓越しに身分証明書の提示を求めて確認しましょう。
- 知らない人から家族のことを尋ねられても、不用意に答えないよう、普段から家族で確認し合っておきましょう。
- いたずら電話がかかってきた時は、何も言わずにただちに電話を切りましょう。
- 留守番電話をセットする時は、「日曜日の7時まで戻りません。」など、具体的な予定を明らかにするメッセージを録音しないようにしましょう。
2.車の利用に関する防犯
米国で生活する上で車は欠かせないものですが、車にかかわる犯罪も多く発生しています。ワシントン州では、特に自動車盗や車上ねらい(車の窓ガラス等を割り、中の金品を盗むこと)の発生が多く、誰もが被害に遭う可能性があります。総領事館には、パスポートを盗難被害に遭ったとの連絡が寄せられることがありますが、車の中にパスポート等を入れたバッグを放置して、車上ねらいの被害に遭ったということが多くあります。また、車の運転手を狙った強盗や強姦などの凶悪事件も発生しています。更には、走行上のトラブルなどからけん銃発砲事件に至るケースもあります。
このような犯罪の被害に遭わないために、次のようなことに注意してください。
(1)運転中
- 必ずドアをロックするようにしましょう。
- 不審な車が後ろから付いてくるような場合は、まず交通量の多い大通りに出て、それから公共施設やショッピングセンター、警察署などを見つけて逃げ込みましょう。
- 交差点等で停車中、見知らぬ歩行者等から声をかけられても、不用意に窓を開けず、そのまま走り去りましょう。
- 別の車との無用なトラブルを避けましょう。また、異常な走行や様子のおかしい車からは離れて走行するようにしましょう。
- 警察官から車両を停止するよう求められた場合(日本と異なり、通常サイレンは用いず、警告ランプを点灯し後方から接近します)は、速やかに路肩等の安全な場所に車を停車させ、窓を開け、その後の警察官の指示に従いましょう。自発的に降車したり、何らかの物品等を取り出そうとすると、抵抗を試みようとしていると誤解されることがあります。
- ガレージの中でも、必ず車のドアをロックしましょう。またガレージに鍵をかけることも忘れないようにしましょう。
車を路上に駐車するときは、人気のない場所は避けましょう。
- 夜間、路上や屋外駐車場に車を駐車するときは、照明設備のある明るい場所を選びましょう。
- 駐車した車から離れるときは、必ずキーを抜き、全ての窓を閉め、ドアをロックしましょう。
- 貴重品に限らず、車内に物は置かないようにしましょう。
- 車内にガレージ用リモコン(ガレージオープナー:リモコンに解錠のための電磁的記録を保存できる装置)を置いたままにしておくことは避けましょう。自動車盗や車上ねらいの犯人が、身分証明書等で自宅住所を調べ、ガレージ用リモコンを使用してガレージから自宅に空き巣に入った犯行事例も報告されています。
- 当地では、駐車中の車両をジャッキアップし、車両下部から触媒コンバーターを盗難する事件が多発しています。これらの犯人は武装しているおそれもあるので、犯行を発見した場合には安全な場所から速やかに911通報して下さい。
- 駐車した車やその周辺に異変がなく、不審な人物がいないことなどを確かめながら車に戻りましょう。
- 予めキーを取り出しておき、すばやく車内に入り、ドアをロックしましょう。また、その際に車内の確認(特に後部座席)を必ず行いましょう。
3.バス利用時の防犯
通勤、通学などの外出時に、バスを利用する方も多いと思います。バスは、一般的には安全な公共交通手段といえますが、バスの中でつい居眠りをしてしまい、腕に抱えていたはずのバッグ等を盗まれてしまったという被害も発生しています。バスを利用する際、自分の身や財産を守るためには、次のような注意が必要です。- 利用客の多いバス停を利用しましょう。
- バスの到着(出発)時刻に合わせ、バス停での待ち時間はできるだけ短くしましょう。
- バスの料金を現金で支払う場合、バス停に向かう前に予め準備しておきましょう。バスに乗ってから、他の乗客の前で財布を広げて、お金を取り出すことのないようにしましょう。
- 車内ではホームレス風や大音量でヘッドホンを聴いているような乗客の近くは避け、運転手に近い前の方の席に座るようにしましょう。
車内が混んでいる場合は、2人掛けの席に1人で座らず、自分が安心できる人の隣に座るようにしましょう。一人で座っていた場合、どのような人が隣に座ってくるかわかりません。
- バッグ等は座席に置かず、しっかりとひざの上に抱えましょう。
- 降車しようとする際、怪しい人が後をつけてきて、不安に感じた時は、そのバス停を乗り過ごし、安全な場所で降車して迎えを呼ぶなどしましょう。
- 車内で居眠りをしたり、財布の中身を数えたりすることはやめましょう。
4.路上での防犯
- 都市部では路上での傷害、暴行などの凶悪事件の発生が多いことを認識しましょう。路上での犯罪で目立つのは、被害者がヘッドホンやイヤホンを使用しているケースです。歩行中にこれらの機器を使用したり、スマートフォンでメール等をしていると、周囲に対する注意・警戒力を鈍らせるばかりでなく、犯罪を企む者に金品の所持を宣伝しているようなもので、格好のターゲットとなってしまう可能性があります。スマートフォン等の機器を歩行中に使用することは避けましょう。また、アメリカでは比較的簡易な手続きで銃器を購入することが可能であり、銃器を使用した事件が数多く発生しています。これらの事情を念頭に、無用なトラブルに巻き込まれることのないよう細心の注意を払って行動して下さい。
- シアトルのダウンタウン周辺では、ホームレスの増加が社会的な問題となっています。これにより治安が悪化したとの明確なデータはありませんが、ホームレスの人々の中には薬物中毒者等もいると言われており、不用意にこれらの人々と接触を持つことは控えましょう。
- また、当地ではマイノリティの人々等を対象としたヘイトクライム(人種や性的嗜好等への否定的感情に基づく脅迫・暴行などの犯罪等)の発生が報告されています。不用意に人種、宗教、性的嗜好等のプライベートに関する発言をするのは厳に控えましょう。
◎都市部のダウンタウンでは、人通りの多い道を選んで歩くようにし、昼間でも一人で人気のない路地や駐車場、公園内に不用意に入るのは避けましょう。
◎多額の現金を持ち歩かないようにしましょう。また、不用意に他人に現金や財布を見せないよう気をつけましょう。
◎バッグ等を持って歩く際は、しっかりと身につけ、出来るだけタスキがけ等の状態で持つなど、ひったくりには十分注意しましょう。
◎常に周りに気を配り、異変を感じたら、すぐにその場から離れましょう。
◎夜間の独り歩きは危険ですので避けましょう。
◎シアトル市の中心部では、パイクプレースマーケットに近いPike St.と1st Ave.2nd Ave.及び3rd Ave. の交差点、Pioneer Square周辺等は、犯罪が比較的多く発生しています。危険な場所には、特に日没後はできるだけ近づかないようにしましょう。
◎万が一、強盗その他の暴漢等に遭遇してしまった時は、生命の安全を最優先に行動して下さい。カードは再発行することは出来ても、命を再発行することは出来ません。
5.ホテルでの防犯
ホテルに滞在する場合は、次のような点を心掛けましょう。チェックインしたら、まず非常口の位置を確認しましょう。
- 部屋にいるときは、必ずドアを閉めて鍵をかけ、さらにドアチェーンをするようにしましょう。部屋を空けるときは、テレビ等をつけたままにして、部屋に誰かが居るように装うことも効果的です。
- 室内に貴重品は置かないようにしましょう。やむを得ず、貴重品を保管するときは、部屋設置の金庫やフロントに預けるようにしましょう。
- 外出の際は、滞在先ホテル名、住所、部屋番号を再確認し、ホテルの案内カード等を持っておくと便利です。
6.置引き対策
多くの旅行者や居住者が被害に遭っているのが「置引き」です。空港(チェックインカウンター、手荷物検査所、ラゲッジクレーム、トイレ等)、ホテルのロビー、レストランなどで多く発生しており、その手口は、椅子の背に掛けられたハンドバッグ類や床に置かれた荷物を持ち去る等、わずかな隙を狙った犯行です。このような置引きの被害に遭わないために、次のことを心掛けましょう。
- 貴重品は出来る限り身体に近いところで所持するようにし、リュックサック等に入れておかないようにしましょう。 また、現金を分散して持ち歩く工夫も必要です。
- 空港やホテルでのチェックイン手続き等の際は、アタッシュケースやハンドバッグ等の荷物を不用意に床に置くことのないようにしましょう。団体旅行で周囲に多数の仲間がいる場合でも、所持品を手元から離さないように常に心がけてください。荷物を置いてその場所を離れなければならないときは、家族等信頼できる人に荷物を預けるようにしましょう。
- スマートフォンを空港内の充電コンセントに接続したままその場を離れ、盗難に遭う事案が発生しています。空港内でスマートフォンなど電子機器の充電をする際は、その場を離れないようにしましょう。
- 空港の手荷物検査等で荷物をX線検査機に通す場合も、自分の荷物から目を離さないようにしましょう。
- レストランで、バッグ等の荷物を座席取りに利用することは避けてください。レストランやホテル等でのビュッフェ形式の飲食の際は、貴重品を入れたバッグ等を置いて席を離れることのないようにしましょう。グループの場合は、誰かが席に残って荷物を見ているようにしましょう。
7.特殊詐欺対策
(1)日本人を対象とした日本語使用の詐欺事案が多発2024年夏以降、日本の税関職員、在米日本国総領事館職員、日本の警察官等を日本語で名乗る詐欺事案が急増しています。その手口は、「あなたが送った荷物に薬物が混入していて、現在日本(空港等)の税関で止められている」「このままでは、あなたは犯罪者となり、強制退去となる」旨、被害者(電話の受信者)の不安を煽り、最終的には、金銭を要求する流れです。日本(米国も含む)の公的機関が、電話で金銭を要求することはありませんので、このような事案が発生していることをお知り合いの方などにも、ご周知ください。
(2)その他米国における詐欺事案
当地でも日本と同様に振り込め詐欺やオレオレ詐欺に類似した特殊詐欺(Scam、Fraud)被害が多く発生しています。電話やメールなどで金銭の授受を持ちかけられた場合には、まずは落ち着いて「詐欺かもしれない」との意識を持って、金銭を支払う前に必ず関係者に確認を取るなど慎重に行動してください。
以下に最近の特殊詐欺の手口を紹介します。
- 米国内国歳入庁(IRS)を名乗る者が「税金滞納につき支払義務がある。支払いに応じないと身分上の不利益を被ることがある。」などと電話をしてくる手口。プリペイド式デビットカードや銀行送金での支払いを督促する(米国の公的機関が支払いを求める場合にはレター等の文書による通知があります)。
- 親族を名乗る者が「旅行先で交通事故に遭った。」「薬物売買でギャングに脅されている。」などと電話してくる手口。外国から国際電話を使用してくる場合が多い。
- 個人広告サイトを通じて品物を販売しようとしたところ、買い取り希望者と偽って電話やメールしてくる手口。オンライン決済サービスを装って支払い済みメールなどを用いて信用させようとする。
- 手紙を通じ実在の銀行を名乗って、「当行の調査により遠縁の親戚の遺産相続の権利があることが判明したので連絡してほしい。」と持ちかける手口。銀行の名称や住所は実在しても、担当者の電話番号は犯人らのもので、電話を掛けさせて個人情報を引き出したり、口座保護(プロベイション)名目で手付け金を振り込ませたりする。
8.カードスキミング対策
カードスキミングとは、クレジットカード、デビッドカードやキャッシュカードを使用した際に、カードの磁気情報や暗証番号を特殊な機械に取り込み、偽造カードを作成して使用する犯罪です。路上や商業施設に設置されたATMにスキマーと呼ばれる機器を取り付けてデータを盗み取るのが主な手口です。大規模なイベントの前後の時期には特に被害が多発するので、銀行店舗に設置されたATMなど、信頼できる場所に設置されたATM のみを使用するようにしてください。また、最近ではカード番号等の情報がインターネット等から流失し、身に覚えのない利用や引き落とし被害が発生しています。少額の利用が多い場合、被害者は被害に遭っていることにすら気づかない場合があります。ご自身のカードの利用明細をこまめにチェックするようにしましょう。
9.誘拐対策
当地では、日本と比べ児童対象の誘拐事件が多く発生しています。小さなお子さんがいらっしゃる方は、日ごろから次のようなことに気をつけるようにしましょう。- 子どもを独りで外出させないようにしましょう。
- 外出時は子供から目を離さないようにしましょう。
- 知らない人から声をかけられたり、お菓子をあげるなどと言われたりしても、相手にしない、ついていってはいけない、と日頃から子供に話して聞かせましょう。
- 子どもの衣類や持ち物に、子どもの名前を表示するのは避けましょう。名前で話しかけられると子供が気を許してしまうおそれがあります。
10.その他
(1)旅券(パスポート)の盗難・紛失旅券の盗難・紛失の場合、再発給には日本で発行される戸籍謄本が必要となり、受取までに一定の時間を要します。旅行中に盗難被害に遭う、又は紛失した場合には、管轄の警察署への届け出や事故証明書の入手等の手続きを自分でしなければならず、旅行計画も大幅に変更せざるを得なくなり、せっかくの旅行が台無しになってしまいます。旅券は紛失したり、盗まれたりしないよう注意してください。
(2)旅券を盗難・紛失された場合の措置
旅券を盗まれた場合は、直ちに最寄りの警察署に届け出のうえ、盗難に関する事故証明書(Police Report)を入手し、総領事館に旅券の再発給申請をしてください。申請に必要な書類や詳しい申請手続きについては、総領事館までお問い合わせください。また、総領事館ウェブサイトでもご覧いただけます。
万一に備え、旅券はあらかじめコピー等を取っておくと良いでしょう。また、各種のカード類や所持金全てを旅券と一緒には所持せず、一部は別に所持しておくと良いでしょう。旅券、カード、所持金や航空チケットが全て入ったバッグを盗まれ、総領事館に助けを求める旅行者の方もいらっしゃいます。
IV 交通事情と交通事故対策
1.交通事情
シアトル周辺の交通事情は決して良いとは言えず、全米でも交通渋滞がひどい地区とされています。リモートワークが進んだ現在でも、特に交通が集中する朝夕の通勤ラッシュ時は、シアトル周辺のハイウェイのあちこちで渋滞が発生しています。他方で運転マナーは他の都市と比べ良い方だと言われており、シートベルトの装着率は全米で1、2位にランキングされていますが、それでも交通事故は多く発生しています。特に雨で路面状況が悪い日は、ハイウェイで事故が発生しやすくなります。

また、シアトルのダウンタウンは、一方通行が多い上に交通量も多いので、旅行者など地理不案内な方は、あらかじめカーナビや地図アプリ等で目的地やルートを確かめてから時間に余裕を持った計画を立てて運転することをお勧めします。
ワシントン州運転免許局は、同州内の運転者向けにドライバーガイドを発行しており、日本語版もインターネットからダウンロードすることができます(※下記リンク参照)。当地で車を運転される方は交通の安全に資するため、このガイドに記載された交通法規等を理解し、それに倣った運転をお願いいたします。
※Washington Driver Guide(日本語版)
https://www.dol.wa.gov/driverslicense/docs/driverguide-japanese.pdf
ワシントン州では、2017年7月から、運転中(渋滞や赤信号による停車中を含む)に携帯電話機やスマートフォン等の電子機器を操作することが禁止され、違反者には罰金が科されるようになったので注意してください。
2.交通事故対策
車社会のアメリカでは、一家で複数の車を保有することが一般的で、誰もが交通事故に遭う可能性があると言えます。ワシントン州で車を運転する場合は、賠償責任保険の加入と加入証明書の携行が義務づけられています。万一に備え、十分な保険に加入することをお勧めします。交通事故に遭った場合は、次のように対応しましょう。
- 負傷者がいる場合には、救急車の手配など、負傷者の救護を行います。
- 直ちに警察に通報しましょう。
- 事故の相手の車の登録番号、車名、モデル、登録年や運転者の氏名、運転免許証番号、連絡先、保険会社名、保険証番号等を確認、記録しましょう。また、目撃者がいる場合には目撃者の住所、氏名、電話番号も確認、記録しましょう。
- 双方の車の損害個所を確認、記録しましょう。
- 証拠保全のために、スマートフォンなどで写真に撮り、記録しましょう。
V 災害への備え
1.災害が起きる前に
(1)災害は、いつどこで起こるかわかりません。また、災害が起きた時は、ゆっくり考える時間もなく即座の対応を迫られます。大地震、ハリケーン、洪水、竜巻などの災害によって電気、ガス、水道、電話、インターネット等が何日も不通になるかも知れません。日本では災害発生時の避難場所があらかじめ決められていますが、当地の自治体は災害発生後、住民の避難が必要な地域や避難場所として機能する施設を、ラジオ、テレビやインターネットなどを通じて広報します。各自治体は、住民がこれら媒体で情報を収集するよう推奨しています。
緊急事態が発生した際、正確な情報をできる限り早く知ることが最も重要です。各自治体では情報提供のためのアラートシステムを立ち上げており、住民へ登録を推奨しています。これらの手段を活用して、避難が必要か否か、避難場所、食料等の必要物品の配布場所について情報収集しましょう。
(2)災害発生後の情報入手先
・各自治体のアラート通報システム(ワシントン州緊急事態管理局)
https://mil.wa.gov/alerts
※居住地の自治体に登録すると、緊急時に固定電話、携帯電話、テキスト、Eメールなどの希望する連絡先に情報が送られる等のサービスが受けられます。
・ラジオ:KIROラジオ(AM710KHz、 FM97.3KHz)KOMOラジオ(AM1000KHz、 FM97.7KHz)
2.災害への備えとその計画
(1)災害への備えのステップとして、ワシントン州緊急事態管理局では、1か月に1時間をかけ、1年間で災害への備えを完成させる計画(※「Prepare in a Year」)が紹介されています。ご家族で災害時の計画を立て、連絡先を確認し、最低限持ち運ぶ書類(パスポートなど)の選定、アラート通報サービスへ登録をすること等が推奨されています。※「Prepare in a Year」
https://mil.wa.gov/asset/5f171cc0a935f
(2)計画を立てる場合には、次の点をよくご家族で相談しましょう。
- どのように家族と再会するのか(電話が使える場合、使えない場合)?
- 家の外での家族との待ち合わせ場所はどこか?
- 自宅から離れた待ち合わせ場所はどこにするか(徒歩で移動可能な距離か)?
- 自宅、職場、またはその他の場所への代替ルートは何か(徒歩でも移動可能か)?
- 勤務先、学校、デイケア等での緊急時の計画はどうなっているか?
- 遠隔地(州外など)の連絡先は誰か?
- 電気、水道がない場合に備えた準備
- 携帯電話が使えない場合に備え、重要な電話番号を、書き留めているか?
3.緊急災害キットの準備
大規模災害が発生した場合、政府機関による救援活動が開始されるまで、各自で最低14日分の生活を維持できるだけの備えをするよう推奨されています。一般的に非常時の備蓄品として必要とされる物を以下のPDFにまとめましたので、印刷して普段から見やすい場所に貼るなどしていただき、参考としてください。※備蓄品チェック・リスト
https://www.seattle.us.emb-japan.go.jp/files/100163031.pdf
4.災害が発生したら
- 焦らず落ち着いて行動し、ご家庭で話し合ったプランを実行に移しましょう。
- ラジオやテレビ、インターネット等で情報を入手し、避難指示が出された場合には、体を防御する衣服、しっかりした靴を身に付け、最低限必要な物品及び災害キットを所携し、速やかに避難しましょう。
- 自宅から避難する場合、できる限り電気機器のプラグを抜き、ドアを閉め、施錠しましょう。
- 避難は推奨される移動手段によって行い、道路や橋などが通行できない場合には、車を利用しないようにしましょう。
- 可能な範囲で、ご家族(連絡がつかない場合は、災害区域外の知人等)に電話、テキストメッセージ等で、ご自身の安否と避難場所を伝えるようにしましょう。
VI その他の留意事項
1.在留届の提出
3か月以上引き続き国外に滞在される方は、滞在地を管轄する総領事館に在留届を提出することが法律で義務付けられています。帰国、転居の際にも、その旨を総領事館まで連絡をお願いします。在留届は外務省のホームページ「ORRネット」(※)を利用し、インターネットから届出が可能です。在留届は、大災害発生時等緊急時に総領事館から連絡をする場合や、本邦のご家族等に連絡する必要が生じた場合等に活用されており、大変重要なものです。
※ http://www.ezairyu.mofa.go.jp/
2.飲酒に関する留意事項
ワシントン州の法律では公園、路上などの公共の場所で、法令上許容規定がないのに飲酒した場合、罰金を科せられます。また、21歳未満(20歳の飲酒も禁止)の飲酒は禁止されており、違反した場合には厳しい罰則が課せられます。飲酒運転に対する罰則は他の州に比べても厳しく、運転中に飲酒すること、また実際に飲酒していなくても車中に蓋の開いたアルコール飲料を置いていることも違法です。これは、同乗者の場合も同様です。
警察の検査で血中アルコール濃度が0.08パーセント以上の場合は飲酒運転とみなされ、人身事故を起こさない場合でも最長1年の禁固刑及び(又は)最高5,000ドルの罰金、最低90日間、最高4年間の免許停止となるほか、様々な制限や義務を課せられることになります。
3.公共の場での喫煙
ワシントン州では公共の場(一般の建物の中を含む)での喫煙は禁止されており、ビルなどの建物の出入口から25フィート(約7.6m)内での喫煙は禁止されていますので、注意してください。4.マリファナ(大麻)について
ワシントン州においては、2012年12月6日から、21歳以上の者の1オンス(28.5グラム)以下の嗜好品としてのマリファナの所持及び公共の場所以外での使用が合法となりました。ただし、これらの条件を満たさない場合のほか、無許可での栽培、販売は違法です。また米国連邦法においては、マリファナはヘロイン等と同等の禁止薬物に指定されており、例えば国立公園内などの連邦政府管理地で嗜好品として所持、使用した場合は違法になります。日本の大麻取締法はマリファナ(大麻)の所持・譲受(購入を含む)を違法としており、処罰の対象となります。また、マリファナ等の商品を取り扱う店舗では一般の商業店舗と比較して現金の取扱いが多いため、店舗を標的とした強盗事件の多発も指摘されており、ご注意ください。
5.児童虐待
「児童虐待」については、当地と日本との間では認識に大きな差があり、日本では許容されることでも、当地では時として「犯罪」として扱われることがあります。例えば、言うことを聞かない子供の頭を人前で叩いたりすること、乳幼児や小さな(緊急時に対応する能力のない)子供に監督者(子守り)を付けずに留守番をさせること、また、買い物等をするときに、乳幼児を一人残して車から離れたりすることなどが該当します。このような場合、当該乳幼児又は児童を当局が保護すると同時に、法令違反として親の身柄が拘束されることもありますので、十分な注意が必要です。
VII 緊急連絡先
1.警察・消防・救急車(緊急)911
※ 電話がつながった際に、「ジャパニーズ・プリーズ(Japanese Please)」と言えば、日本語通訳につないでもらえます。2.警察(シアトル地域・非緊急通報)
シアトル市警察本部:(206)625-5011シアトル港湾局警察本部(シアトル・タコマ空港管轄):(206)787-5401
ベルビュー市警察:(425)577-5656
3.医療機関(通訳の手配が可能な主な病院)
※下記全ての医療機関に通訳が常駐しているわけではなく、急患には対応できない場合がありますので、最寄りの医療機関にあらかじめ問い合わせることをお勧めします。下記掲載の病院は、あくまで一例で、シアトル市に所在する総合病院を掲載しております。各病院とも多くの支部がありますので、受診の際は、お住まい等からお近くの病院での受診をお勧めします。○ ハーバービュー・メディカル・センター「Harborview Medical Center」
住所:325 9th Ave、 Seattle、 WA 98122
電話:(206)223-3000、(206)744-9250(通訳サービス)
○ バージニア・メイソン・メディカル・センター「Virginia Mason Medical Center」
Medical Center in Seattle
住所:1100 9th Ave. Seattle、WA 98101
電話:(206)624-1144
Medical Center in Bellevue
住所:11695 NE 4th St, Bellevue、WA 98004
電話:(425)637-1855
○ ワシントン大学メディカル・センター「University of Washington Medical Center」
住所:1959 NE Pacific St、 Seattle、 WA 98195
電話:(206)598-3300、(206)598-4425(通訳サービス)
○ スウェディッシュ・メディカル・センター・ファーストヒル・キャンパス他 「Swedish Medical Center First Hill Campus」
住所:747 Broadway、 Seattle、 WA 98122
電話:(206)386-6000
○ カイザー・パーマネンテ「Kaiser Permanente」
Capitol Hill Medical Center
住所: 201 16th Ave E、 Seattle、 WA 98112
電話:(206)326-3000
Bellevue Medical Center
住所: 11511 N.E. 10th Ave.、 Bellevue、 WA 98004
電話:(425)502-3000、Urgent Care Center (425)502-4120
○ シアトル・チルドレンズ・ホスピタル「Seattle Children's Hospital」(小児科)
住所:4800 Sandpoint Way NE、 Seattle、 WA 98105
電話:(206)987-2000(代)、1-(866)583-1527(通訳ライン)
4.日本総領事館等(近隣含む)
○ 在シアトル日本国総領事館(Consulate-General of Japan in Seattle)所在地:701 Pike Street、 Suite 1000、 Seattle、 WA 98101
電 話:(206)682-9107
夜間・休日の緊急時:総領事館に電話すると「JAN(ロサンゼルスの緊急センター)」に転送され、オペレーターが応対します。
ウェブサイト:https://www.seattle.us.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html
○ 在ポートランド領事事務所(Consular Office of Japan in Portland)
所在地:2700 Wells Fargo Center、 1300 S.W、 5th Ave、 Portland、 OR 97201
電 話:(503)221-1811 FAX(503)224-8936
ウェブサイト:https://www.portland.us.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html
○ 在アンカレジ領事事務所(Consular Office of Japan in Anchorage)
所在地:3601 C Street. Suite 1300、 Anchorage、 Alaska 99503
電 話:(907) 562-8424 FAX (907) 562-8434
ウェブサイト:https://www.anchorage.us.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html