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2011年農業研修生プログラム開校式における太田総領事挨拶(平成23年3月25日 於:ビッグ・ベンド・コミニティカレッジ)
ご列席の皆様
農業研修生諸君
まず、3月11日の地震と津波に際し、米国よりこれまで多くの弔詞を頂いており、深く御礼を申し述べたいと思います。特に、Big Bend Community Collegeと農業者研修プログラムの関係者各位より、暖かいお悔やみの書簡を頂いております。
東北地方の被災地域では、今次津波で広大な農地が失われております。本年の研修生の中には、今次震災のため、米国に渡航できない生徒が1名おりますが、可能な限り早期に加わりたいとの希望であると聞いております。ここにいる諸君も、故国日本がどうなっているか、気が気でないことと思います。
1. 岐路に立つ日本農業
諸君。しかしながら、諸君は、諸君の家族、故国日本、そして我が国農業の将来のため、向こう18ヶ月間、ここ米国での研修に励まなくてはなりません。
我が国の農業は岐路に立っています。現在我が国では、TPPに加入すべきか否か、重大な議論が行われています。この議論の核心は、TPP加入が我が国の農業にどのような影響を及ぼすかということです。
ご高承のとおり、我が国の260万の農業者の平均年齢は65歳に達しています。日本の農業は、危機に瀕しているとすら言われています。今後も厳しい局面が続くものと思います。
2. 米国研修で学ぶべきもの
諸君。諸君達若人には、この変動期にあって、我が国の農業の未来を切り拓いていくチャンスをしっかりとつかんで頂きたいと思います。
諸君は、農業の技術的側面については、ここ米国での研修期間を通じ、当然習得することでしょう。しかし諸君が真に習得すべきは、戦略的な農業の計画と経営です。
米国では「一生懸命働くだけでなく、知恵を出して働け!」という言葉があります。諸君は、一生懸命働くべきは良く分かっていると思います。諸君は、知恵を出して働くことにより、諸君自身より驚くべき可能性を引き出すことが出来るのです。
3. 新たな土地、新たな挑戦、新たな識見
諸君とは、1年半後にシアトルの卒業式で再会することとなります。この米国での研修期間を通じ、諸君は、我が国の農業について、これまで気が付かなかった良さを発見し、大切にしたいとされることも少なくないと思います。
諸君は、米国での挑戦を通じ、農業について、旧きを訪ねつつ、新たな識見を獲得することが出来るものと思います。当地米国での経験を積み、新たな視点を得ることにより、我が国の農業界で指導的役割を果たすことを願っています。
4. 日米の友好の絆
私は、3月11日の震災の後、日本と米国は極めて緊密であり、友情で一つに結びついていると、改めて思い致しました。米国より我が国には、多くの被災地支援、弔詞そして義援金が寄せられています。私は、米国国民が我が国国民に対し、多大な支援が寄せていることに、感動しております。
日米の友好の絆は、これまで数十年にわたり、多くの米国人と日本人とにより、じっくりと築き上げられてきました。その人達の中には、諸君の先輩農業研修生が含まれているのです。諸君には、向こう18ヶ月にわたり、日米両国の草の根レベルの友好の絆を、さらに強固なものとして頂ければと思います。
最後に、我が国政府を代表して、米国において農業者研修プログラムを維持・運営して頂いている皆様に、心より御礼を申し述べたいと思います。Big Bend Community College、Big Bend Foundation、モーゼスレーク市はじめ、この研修プログラムを支えて頂いている全ての皆様に感謝の気持ちをお伝えしたく、そして今後も引き続きご支援の程、宜しくお願いします。
ご静聴ありがとうございました。